【ダイヤのA】ダイジョーブじゃない手術を受けた俺

　今日は他校との練習試合が組まれている日だ。 　一軍だけではなく二軍も試合があり、一軍で降谷が、二軍で沢村と小湊弟が初出場する事になっていた。 　俺は今回の試合では登板無しな上に外野手としての出場予定もなく、大人しくベンチで応援していろ...

　降谷に俺から言える事は一通り言い終わった。 　結局、大したアドバイスはしてやれなかった気もするが、今から爪のケアを覚えれたのなら一応プラスにはなるだろう。 「わははは、見ててくださいね先輩！」 　そして次は沢村の番だ。 　まだ投げ...

　ブルペンに居た人たちに軽く吉川さんを紹介した日の夜。 　俺が風呂から上がって部屋に戻る途中、食堂に何人か集まっているのが見えた。 　確か今日は都大会の決勝戦があった筈なので、あそこに居る人たちは市大三高と稲実の試合の映像を見る為に集ま...

　空いている場所に移動して俺たちもピッチング練習を始めた。 　まずは軽くキャッチボールをして肩を温め、徐々に力を入れて球を走らせていく。 　甲子園からMAX球速は変わっていないが変化球のキレは全体的に少し上がっていて、もう少し磨いたら新...

　市大三高との試合から数日後、青道の練習は激しさを増していた。 　さらにそれに伴ってレギュラー争いも激化しており、練習試合ではこれまで以上に気合いの入った部員の姿がそこら中で確認できる。 　かく言う俺もその中の一人であった。 「──ふ...

　ちょうど試合が終わったタイミングで市大三高の人が天久を探しに来てくれたので、俺たちはそこで別れることになった。 　天久本人はけろっとしていたが、迎えに来た恐らく三年生の人は平謝りしていたのが何とも言えない。 　あの手慣れた対応を見る限...

　稲実と戦うことになる対戦校は春日一高という東地区の強豪校だ。 　春日一高は足の速い選手が多く、さらにレギュラーの半分以上が左バッターという構成らしい。 　今年は際立った能力を持ったスター選手はいないが、毎年総合力の高い良いチームに仕上...

「……え？　青道が負けた？」 　稲白実業高校のエース、成宮 鳴はそう聞き返した。 「ああ、市大三校にな。3-2だそうだ」 　答えたのは稲実の正捕手である原田。 　試合前のこの大事な時間に少しでもエースの動揺を誘うような情報を伝えるか...

　3-2。 　それが青道 対 市大三高の試合の結果である。 　一時は同点にまで迫り、あわや逆転というところまで行ったのだが、天久の次にマウンドに上がった真中さんにそのチャンスを潰された。 　そして最終回に市大三高に一点を奪われて勝ち越...

　試合は進んで今は6回の表、市大三高の攻撃が終わって攻守が切り替わったところだった。 　グラウンドから戻って来た俺はベンチに腰を下ろし、そこからスコアボードに並んだ数字を見て拳を強く握り締める。 「……これはまずい」 　市大三校の攻撃...