【バイオハザード】とあるウィルスの適合者

【バイオハザード】とあるウィルスの適合者

とあるウィルスの適合者16

 ジルが貧血によって眠ってから数分後、再び彼女の血を啜りたい気持ちを抑えながら葛藤していると、タイラントに吹き飛ばされて気を失っていたレベッカが軽く身じろぎした。  おっと、危ない危ない。  危うく眠っているジルにトドメを刺してしまうと...
【バイオハザード】とあるウィルスの適合者

とあるウィルスの適合者15

 ジルの首筋に噛み付き、その血を啜った。  よく考えればそうなるのも必然だったように思う。  普通、タイラント相手にあれほど圧倒的な戦いが出来るなんてあり得ないのだ。  それこそ血を大量に摂取し、満タンまでエネルギーを体内に蓄えていた...
【バイオハザード】とあるウィルスの適合者

とあるウィルスの適合者14

 クリスが俺に銃を構えているのを見て、思わず不快げに眉を顰める。  自分でも客観的に見てさっきまでの行動はどうかと思うが、だからと言ってそうあからさまに警戒されているのを容認できるほど、俺は大人ではない。 「さっさとその銃を下ろせ。助け...
【バイオハザード】とあるウィルスの適合者

とあるウィルスの適合者13

 全身の血が沸騰し、身体が炎に包まれているような熱を感じる。  実際、今の俺は凄まじい熱気を周囲に撒き散らしていることだろう。  身体に残されているエネルギーを湯水のように消費しているような感覚があるが、それを止めようとも、止めたいとも...
【バイオハザード】とあるウィルスの適合者

とあるウィルスの適合者12

「レイ、無事だったのね!」  俺を呼ぶレベッカの声で我に帰る。  声が聞こえてきた方向へ視線を向けると、レベッカともう一人の女も大きな怪我はしていないらしく、銃口を化け物に向けて戦闘態勢に入っていた。  チッ、流石に予想外すぎて一瞬行...
【バイオハザード】とあるウィルスの適合者

とあるウィルスの適合者11

 不幸中の幸いと言うべきか、思わぬところに生きた人間が転がっていた。  そいつは男だが、偶然にも道中で採血キットをいくつか入手していたので、それを使って血を摂取することが出来たのだ。  本当は直接吸った方がエネルギー効率が良いんだが、相...
【バイオハザード】とあるウィルスの適合者

とあるウィルスの適合者10

 ジルは手元にある資料に視線を落とす。  そこに書かれていたのは、とある実験についてのレポートだった。  実験と言っても合法的なものではない。  非合法……それも生身の人間を使った悪魔のような人体実験の詳細が事細かに記されており、思わ...
【バイオハザード】とあるウィルスの適合者

とあるウィルスの適合者9

「はぁ……流石に疲れたな。肉体的にも、精神的にも」  俺は戦いが終わった後も未だに大広間から移動していなかった。  ――自分の母を殺した。  いくら化け物に成り果てていたとはいえ、それでもその事実だけは俺に重くのし掛かっている。  ...
【バイオハザード】とあるウィルスの適合者

とあるウィルスの適合者8

 胸を貫いて感じる体温は微かな温もりだけ。  これが死体のように冷たければ多少は気持ち悪さを感じずに済んだのだろうが、少しでも人としての熱を感じてしまうと途端にやり難さが出てきてしまう。  だが、躊躇えば死ぬのは俺だ。  感情を押し殺...
【バイオハザード】とあるウィルスの適合者

とあるウィルスの適合者7

「一体なんなのよ、あの化け物は!」  パンパン!と連続で銃弾を浴びせているというのに、目の前にいる異形の怪物はまるで効いた様子もなくゆっくりと近付いて来ていた。  辛うじて人型を保っているが、とてもじゃないが人間とは言えない姿をした化け...
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