【ワンピース】藤色の若き虎

【ワンピース】藤色の若き虎

藤色の若き虎14

 島に上陸したツバキたち海軍一行は、周囲の警戒をしながら島の中を探索する準備を進めていた。  今彼らがいる場所は極寒の地。  生物が生きてはいけないような過酷な環境である。  どんな環境であっても生還できそうなツバキはともかく、他の者...
【ワンピース】藤色の若き虎

藤色の若き虎13

「皆んな、長旅お疲れ様。どうやら到着したみたいだよ。灼熱の地と極寒の地が混在する島――パンクハザードに」  視線の先には目的地の島。  左を見ればマグマが噴き出している灼熱の土地で、右を見れば氷に覆われた極寒の土地が混在している奇妙な島...
【ワンピース】藤色の若き虎

藤色の若き虎12

 海よりも広い大空。  人間の手が届かない遥か上空を渡り鳥の群れが自由に飛び回っている。  陸や海とは違い、この領域は彼らにとっての楽園だ。  高度を下げて地上や海面に近付き過ぎれば外敵からの攻撃に晒されてしまうが、天敵と呼べるような...
【ワンピース】藤色の若き虎

藤色の若き虎11

「小僧、麦わら海賊団を知っちょるか?」  サカズキが居る執務室に入室すると、落ち着く暇もなくそんな事を聞かれた。  ちなみにたしぎは室内にまでは入って来ず、扉の外で待機しているのでこの場にいるのはツバキとサカズキの二人だけだ。 「麦わ...
【ワンピース】藤色の若き虎

藤色の若き虎10

 ツバキが海軍に所属してから数ヶ月が経過した。  彼の直属の部隊は順調に海賊達を捕らえて実績を積んでおり、もはや誰も彼の事を新参者のお飾り大将とは揶揄しなくなっている。  海軍という組織はその役割上、結果さえ残せば何も問題は無いのだ。 ...
【ワンピース】藤色の若き虎

藤色の若き虎9

「うん、今はちゃんと見えてるよ。でもこの目は俺のじゃない。俺を拾ってくれた親父がくれたものなんだ」  そう言って微笑みを浮かべるツバキが、たしぎには少し哀しんでいる様に見えた。  彼のそんな様子を見て迂闊に踏み込んでしまったことを後悔す...
【ワンピース】藤色の若き虎

藤色の若き虎8

 どこまでも広がる青い海。  比較的穏やかなこの海域に、巨大な砲塔がいくつも設置してある物々しい海軍の軍艦が一隻だけポツンと浮かんでいた。  その軍艦の帆には『MARINE』の文字と海軍のマークが描かれており、一目で海軍の船だとわかる見...
【ワンピース】藤色の若き虎

藤色の若き虎7

 最初に動いたのは、ツバキ。  カツン、カツンと下駄の音を立てながら少しずつ、しかしあくまでも自然体でサカズキの方へと近付いて行く。  あまりに無防備なその行動に、この戦いを見守っていた海兵達は思わず首を傾げていた。  ただ、その瞳だ...
【ワンピース】藤色の若き虎

藤色の若き虎6

「……んあ? どこだ、ここ」  スモーカーは痛む頭を押さえながら体を起こすのも億劫そうに目を覚ました。  ズキリと身体のあちこちに痛みが走り、ただでさえ強面な顔が一層険しくなっている。 「あ、起きたんですねスモーカーさん。もうお身体は...
【ワンピース】藤色の若き虎

藤色の若き虎5

 訓練場に立っているのはツバキひとり。  周囲には数十名の海兵が転がっているが、どうやらツバキとの戦いで全力を出し尽くしてしまい、もうこれ以上は誰も立ち上がって来れないようだ。  ゾンビのように何度も立ち上がって来ていた根性のある海兵は...
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